愛の手
全ての怪我を手当てすると、総司さんは薬箱をしまった。
あたしは痛みで涙の浮かぶ目をこすった。
痛いよぉ。
消毒液なんてダイキライになりそうなくらい、強い痛みだ。
さて、といいながらふり返る。
広げた両手。
おいで、っていわれるみたいな仕草に、あたしの胸がキュンッと鳴った。
「こないのか?」
なかなかいこうとしないあたしを、総司さんは急かす。
あたしはそっと腕の中に顔をよせた。
あったかい胸は、トクン、トクン、と規則的な音をたてていた。
「総司さん」
「どうした」
「頭、なでてくれませんか?」
あたしから頼むのははじめて。
総司さんは一瞬目を見開いたあと、ゆっくりと頭をなでてくれた。