愛の手
呼び出しといえば屋上。
決まってるわけじゃないけど、屋上がピッタリ。
ってわけで寒いにもかかわらず、あたしたちはまた屋上に来ていた。
もう冬近いっていうのに、なにしてんだろ、あたしたち。
「元気してたかぁー?」
……マヌケな声で挨拶するな!!!
あたしは怒鳴りたい衝動を、せいいっぱい拳にこめて我慢をした。
「あのね、……久々とかいうレベルじゃないでしょ!? あんた、アレから一週間も休んだのよ!?」
結局我慢は出来ず、あたしは声を張り上げた。
そう。
礼央があたしを矢崎組から逃がしてくれてから、ちょうど一週間が経過した。
次の日来ると思ってた礼央は、家の事情で休むとかなんとか……
あたしは驚いて、まさか怒られたのかな!?って心配してメールをしまくった。
でも返ってくることがなくて、余計に心配になってたんだ。
「あー、メール返せなくて悪かったな」
「本当だよっ!!」
あたしは怒りを隠すことを忘れ、目の前の礼央に怒鳴りつけた。