愛の手
「また…、あたしを殴るクセに」
ため息にも思えるくらい小さく呟いた。
「殴って、あたしのことゴミみたいに扱うクセに」
声が震える。
恐怖が、記憶の中からよみがえる。
「殴るクセに、……優しくなんかしないでよっ!!!」
信用させて、殴って、またあたしを突き落とすの?
恐怖と絶望。
二度と味わいたくない感情。
「あたしは人形なの!! 総司さんに買われた、たんなる置物。だからあたしに、オモチャに優しくなんかしないで!!」
あたしの中で、なにかがプツンッと音をたててはち切れた。