愛の手
あたしはどのくらい罵倒すれば気が済むのだろう。
声がかれるくらい、あたしは叫んだ。
泣き叫びながら何度も胸を叩くあたしを、総司さんは黙って抱きしめ続けた。
でもあたしは知ってる。
落ち着かせるために、ずっと頭をなでてくれたことを。
あたしがなにかいうたびに、ツラそうに顔をゆがませていたことを――…
あたしは総司さんの優しさにつけこんで怒鳴り続けた。
なにをいっても、黙って聴く総司さん。
あたしはこのとき、買われた身、という立場をすっかり忘れていた。
それなのに総司さんは、落ち着いたころに、かすれそうな声で
「悪かった」
っていってくれた……