【完結】嘘つき少年と女の子
「あ、えっと」
用件をさっさと言おうと思うけれど。
…用件ってなに?
だってあたしは篠沢君に言われてきたわけで。
別に来たくて来たとかそういうのじゃなくて。
だから、そりゃ用件なんてないんだけど。
「なんなんだよ?」
鬱陶しそうに先を促す琉架が少し不機嫌だったから、思わず本当のことを言ってしまう。
「用件…ない、んだけど」
「は?」
思った通りに
コイツバカだろ、みたいな目で見られ。
思った通りに、
言葉を理解した琉架は溜息を零した。
「だ、って。篠沢君が行けって…!」
「…あー…あっそ。なんとなくわかった」
って。
何納得してんのよ!?
あたしはわかんないっていうのに!