【完結】嘘つき少年と女の子

「や…っ!じょ、冗談でっそういうこと言っちゃだめって、い、言ったじゃないっ!」

言いたいことはこんなふうじゃなくて
もっと違うこと。

なのに今は、止められないくらい溢れ出す。


琉架が人を騙すなんていつものことじゃん。

それくらいわかってるのに。

ちゃんとわかってるのに。


どうしてこんなに、胸が痛いの?




「……桃」

「ムカつくのッ!冗談で好きとか…!あたしがっなんで…あたしまでっ、他の子と一緒に思われて…ッ」

「桃」

自分でも何を言ってるのかわからなくて。
だから琉架にはもっとわからないと思う。

さっきよりも少し強い声で名前を呼ぶのが聞こえる。

強いけど、弱い
そんな声で。

そして、グイッと腕を引っ張られた。


ートン…


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