【完結】嘘つき少年と女の子
倒れると思って目をつむったのに、
当たった場所は温かくて。
見上げるとすぐ近くに琉架の顔。
耳には小さく心臓の音。
琉架の胸板に、顔をくっつけるようにして倒れていた。
「ちょ…」
「黙って」
そう言いながら琉架は、
ギュッとあたしの頭を押さえつける。
自分の胸板に。
そうすると、琉架の心臓の音が大きく聞こえた。
ドクン ドクン ドクン…
あ、れ…?
琉架の心臓、速い……?
少し驚いて顔を上げると、
一瞬目が合ったのにそっぽを向かれてしまった。
「えー、だから、正直言えば、さっき嘘って言ったのが、嘘……なんで」
「……どういう意味」
意味が理解できなくて自分の鈍さを呪いながら恐る恐る聞けば、
案の定大きな溜息がかえってきた。