【完結】嘘つき少年と女の子

「……あーーもうッ。だから!」

「は、はいぃ!」


急に大きな声を頭の上で出すから、
びっくりして敬語になってしまう。


「だから、俺は…!」

さっきまでの勢いはどこに? ってくらい
声が小さくなって。

しまいには沈黙。


なにこれ、なにこれ。

全然わかんない


全然わかんないけど、琉架がおかしい。


全然わかんないけど、あたしまでおかしい。



さっきから大きすぎる心臓の音が、
胸をつきやぶって出ていきそうで。

切ないような嬉しいような
よくわからない胸の痛み。

きゅーってしまって苦しいんだけど、

全然嫌じゃない、痛みがする。



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