【完結】嘘つき少年と女の子
見上げようとしてるのに、
強すぎるくらいの力で頭を押さえつけられて身動きが取れない。
その間にも琉架の心臓の音はどんどん速くなっていく。
一緒になって、あたしの心臓まで速くなっていく。
「俺……桃の前じゃ情けないくらい、余裕になれねーんだけど」
小さく呟いた言葉はあたしの耳には届かなくて。
聞き返そうと口を開く。
だけど。
「…それくらい、お前が好き」
今度ははっきりと聞こえる声で、
琉架が言った。
ドクン
大きな心臓の音は、あたしの音。
さっきよりも強く、胸がきゅーってしまったのがわかる。
今度はホント?
琉架の嘘じゃない?
いつのまにか緩んでいた琉架の力。
ゆっくりと顔を上げると、
「え……。る、か…?」