【完結】嘘つき少年と女の子

「楽しそうだったねー今日」

恒例のようにあたしの部屋で寛ぐ琉架は、
どうも刺々しくそう呟く。


「え?篠沢君?」

「ん。桃のタイプっぽくない?」


そう言われてみれば、優しいし、普通にカッコいいし。

「そうかもー」

「……」

意外とぴったりタイプに当てはまっている篠沢君を思い出し、少し笑う。

ヤバいヤバい。
思い出し笑いって、ちょっと不気味なんだった。

笑われると思ってチラッと琉架を見ると、
不貞腐れたような顔でこっちを見てて。

けれどあたしと目が合うと、
取り繕ったような爽やか笑顔を向けられる。

なに、今の。

「うん、頑張ってみれば?バカみたいに純情そうだし」

微妙にいつもより、声が冷たい?

だけどいつものような笑顔だったから、
ただのイヤミかと思った。


だからいつものように、何も返さなかった。



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