片思いの種
「ああ!うんうん!アレよかったよね。」


「そうそう!あの名シーン泣ける!」


凜と感動アニメについて語っていた。


いすから身を乗り出して、いすから離れていた。


座ろう・・・と思い座ったとたん!!


「いったあああああああ!」


いすから落ちた。


「うえ。やば!」


お尻に激痛が走る中、


後ろを振り向くと南がいた。


「みーなーみーーー!!」


最近あたしにちょっかいをかけてくる。


「悪い悪い。そんなつもりなかったんだよ。」


笑う南。


ムカつくけど、この笑顔が好きだったから許してしまう。


「もう!いいよ。」


こうやって、意地悪しても絶対に謝ってくれる南。


ソコがスキだ。・・・友達として。


あたしと南は今、


過去を忘れて結構仲が良い。


頭の悪さも同じくらいで、


先生にまで「お似合い」と言われるほどだ。


とにかく性格が合うからやりやすい。






「葵。ぶっちゃけ、南に乗り換えれば?」


凜が真顔で言ってきた。


正直、凜に腹が立った。


その気持ちに悪気はないのは分かってる。


けれど、あたしに可能性がないっていってるようなものじゃん?


あたしは過去じゃなくて現在を生きてるのに。


「恋してるのは南じゃないから。」


否定するのに迷いはなかった。


未練なんてとっくにない。


いまさら仲良くしてるからってなんだっていうの?


友だちじゃん。


「そうだね。ごめん!頑張れ!」


「うん!」


諦めない。


明日こそ、1歩踏み出すんだ!
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