片思いの種
ラブレター
「ねえ、その気持ち手紙に書いたらどうかな?」


いわゆるラブレターだった。


でも、海翔にそんなもの出せない。


「無理・・・。」


まだ自信はわいてきていない。


「書くだけでも!自分で自分の気持ちを!」


海翔への気持ちを・・・?


手紙に書くの?


戸惑いはあったが、なんとなく書き始めた。


海翔に見てもらえるような手紙にしようと頑張った。


書いているときは、海翔を思い浮かべる。


このラブレターをいつか渡せる日は来るのかな?


だんだん書くのが楽しくなってくる。


海翔にこの愛が届くように・・・。


この精一杯の想いを書く。


まる1日。


あたしは書き続けた。






「紗樹!あたし書いたよ!」


紗樹に手紙を差し出した。


「え?わあ!本当じゃん。」


紗樹はあたしをほめてくれた。


これでも進歩だって言ってくれて、


勇気付けられる。


「早速、読んでいい?」


「恥ずかしい・・・。」


自分のラブレターを見せるのにはためらいがあった。


でも、紗樹なら・・・。


「うん。見て欲しい。」


「わかった。気持ち、くみ取るから。」


紗樹は真剣に読んでいた。


一文字一文字、本当に丁寧に読んでいた。


あたしは恥ずかしかったけど、


じっと待った。


紗樹が手紙から目を離した。


さらに恥ずかしさがこみ上げた。


「ど・・・どう?」


紗樹は、にっこり笑った。


「とっても素敵だと想います。」
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