片思いの種
ゆれる想い
その日の夜も、南でいっぱいだった。


あたしって軽い女なのかな・・・。


好きな人より友だち?


よりによって元彼?


ああ、もう自分がわからないよ。










「はあ!?南にドキドキした!?何言ってんのあんた!」


紗樹にすぐ相談した。


が、この言葉の一点張りだった。


「いや・・・その。」


「葵・・・!好きなんでしょ?南のコト。」


・・・・好き?


南が・・・好き?


「好き・・・。」


その瞬間紗樹が真っ赤に染まる。



「もう知らない!葵がそんな人だと想わなかった!」


机から離れ、やがて走っていってしまった。


あたしには涙が残った。


軽い女?


でも・・・南がスキかもしれないんだもん。


海翔に恋して届かないのなら意味がなく思えるんだもん。


「葵?なんで泣いてんの?」


「み・・・なみ・・・。」


ほら、こんな風に来てくれるのは南だけ。


あたしはまた、南でいっぱいになった。


こんな簡単に人を好きになれるあたしだから・・・。


きっとあたしは純粋じゃないんだ。


「何があったか知らないけどさ、あんま気にすんなよ。」


笑顔でそういう南。


癒される。


楽になれる。


「ありがとね・・・・っ!!!」


急に抱き寄せられる。


あたしもすぐに腕を回した。


そして・・・・・唇が重なる。


当たり前のように時間はすぎた。


教室に人はいない。


みんな移動教室だ。


あたしも行かなきゃ・・・・。


あたしはそっと唇を離した。


「移動だから・・・・。」


走って教室に向かう。


キスしたってコトは、南はあたしがスキってコト。


両思いのほうが幸せだった。


このまま、海翔は忘れて南を好きになる。


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