片思いの種
その人は、5種目で1位をとっていた。


「中松海翔?誰だろうね。」


聞いたコトも、見たこともない人。


「彼氏がこんなんだったらいいよね。運動神経抜群!」


紗樹がはしゃぐ。


でもあたしは、そんなのれなかった。


「海翔って人さ、ごっつそうじゃない?」


「うんうん!」


名前でごついと思って、


海翔って人の人物像まで浮かんでしまった。


あのときに廊下で見かけたあの人かなと思った人もいた。


さらに、紗樹とも意見一致で、


「ごつい人」と決め付けて、笑っていた。










今日は日直!!!


・・・・・・というコトを忘れていて大幅に遅刻。


しかも、隣の席の人が欠席で、


1人で職員室に向かった。


「失礼しマース。」


室内で辺りをきょろきょろしていると、


担任の先生から見られていた。


「やば・・・・・。」


あたしは小さくつぶやいて、


早歩きで先生のほうに向かった。


「すみません!遅刻です!」


先生が怒った顔になった。


あたしはビクッとした。


「お前、遅刻多いんだよ。っつーわけで、コレ運びなさい。後、再日直忘れずに!」


そういって先生は、あたしに大量のノートを渡してきた。


「おもっ!」


クラス分のノート30冊。


重すぎる。


「あたし1人ですよ!!??」


「はい文句いわなーい。」


仕方なくあたしはノートをもって職員室を出た。


ノートで前が見えなくて、


転ぶのも嫌だから、


チャイムを気にせずゆっくり歩いた。


・・・・・・・・・・・キーンコーンカーンコーン・・・・・・・・・・


着席のチャイムが鳴り、


周りがいきなりうるさくなったと思ったら、


静かになった。


でも、あたしは急がなかった。


コレを理由に、ゆっくり行けばいいと思った。


・・・・・・・・・・・トントントントントン・・・・・・・・・・・・


後ろから足音が聞こえた。





< 2 / 31 >

この作品をシェア

pagetop