片思いの種
・・・・とは言ったものの。


告白なんかできっこないあたし。


紗樹と遠くから海翔を見ていた。


「イケイケ!」


紗樹が背中を押してくる。


あたしは少し飛び出ながらもすぐに戻ってブルブルしていた。


「無理・・・!!」


ただでさえ勇気ないのに告白なんて・・・・。


そう、所詮あたしは口だけ女。


「もう!分かったよ。まずは、仲良くなろうか。」


紗樹はあたしの情けなさにあきれている。


それでも・・・それでもね、


あたし無理なんだもん。








「葵ちゃん?ちょっといいかな?」


玲未さんだった。


さっき紗樹がいなくなって1人のあたし。


「なん・・・ですか?」


帰り道。


誰もいない公園のブランコ。


あたしはココに呼び出されたのだ。


「葵ちゃん・・・。」


ギーコギーコ。ブランコの音が鳴り響く。


悔しいコトに、相変わらず可愛い玲未さん。


「玲未好きになったの。」


好き・・・?


そっか。


瞬間的に分かった。


海翔のコトだよね。


玲未さん海翔がすきなんだ。


あたし・・・勝ち目ないじゃん。


元カノ元彼なんて上手くいくじゃん。


あたしみたいに遠くから見なくても近くで見れる。


すれ違う前に話せる。


いっぱいいっぱい、会話できる。


あたし・・・叶わないよ。


「そうですか・・・。」


涙よりショックが大きい。


恋心は止まらないんだから、


どうしろって言うの?


「ごめんね。ライバルとして・・・上手くやっていけたらなあって。」


少し笑みが浮かんできた玲未さん。


あたしは無言で見つめた。


「上手くやっていく?」そんなの無理に決まってる。


やっていきたいと思えない。


「すみません。」


そう一言残して歩き出した。


もう、告白しなきゃやばい。


追い越されてあたしの恋が終わってしまう。






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