片思いの種
今起きているコトは夢なんじゃないかって思う。


「あんさ・・・宮坂だっけ?返事すっから。」


告白の返事・・・。


上手くいくなんて思っていない。


こうやって知り合えただけでよかった。


・・・・でも高望みするのなら、


思いが届いていて欲しい。


「俺、お前のコト知らないし。なんつうか、悩む以前に・・・。」


はは。


やっぱ悲しいな。


涙があふれるよ。


いつもより大粒のね。


ハッキリ言ってくれればいいのに。


「無理」って。


「うん・・・っ。」


喋った瞬間に涙がどっと出た。


恋した相手に想いが届かないって、こんなに辛いんだ。


苦しいんだ。


切ないんだ。


片思いの種ばっかり植え付けて、


咲かせて・・・。


両思いの種は?


植えられてないじゃん。


もともと結ばれるコトのない恋だったんだ。


「泣くなってば!俺、気持ちは嬉しいし。」


そう照れたように言う海翔。


あたしもさらに赤くなる。


「うん・・・っ!もう、ずぎいいいいいい!!!」


思いっきり叫んだ。


海翔への片思いを伝えきれた。


結果としてフラれたけどいいんだ。


もう諦める。


これで、あたしの恋は終わり!


「じゃ、俺帰るから・・・。」


最後のそう残し、海翔は走り去った。


まだ夢から覚められない。


・・・・・夢じゃないんだ。
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