片思いの種
友達とはいえ、やっとちゃんと向き合えたあたし。


こんなに嬉しいコトなんかない。


本当に良かった。









あれから1週間。


「葵あんたさ、あれから海翔と話したわけ?」


あきれて言う紗樹。


それもそうだ。


だって・・・


「ううん。」


話してないんだもん。


友達でも、そんな簡単に話せるものじゃない。


つい最近までは一切会話できない関係だったのに。


「もお!そんなんじゃ海翔は振り向いてくれないんじゃない?」


「えええ!」


海翔が・・・振り向いてくれない?




そんなのイヤアアアアアアアア!!!


「紗樹!あたし話しかけるよ。」


決意した。


もう、遠くから見ている時間なんかない。


少しでも多く海翔と関わらなきゃダメなんだ。










「か・・・かかかかかいいいっと!」


昼休み。あたしはソッコー走っていって、


叫んだ。


海翔は恥ずかしそうにこちらを見て言った。


「うるさい。迷惑。」


こんなそっけない言葉だったけど、


あたしに贈ってくれた言葉が嬉しかった。


1分でも1秒でも、一瞬だけでも、


海翔があたしを見てくれることが嬉しい。


「あああの・・・・な、なんの教科が苦手?」


とっさに思いついた話題。


「どうでもいいじゃん」って思われそうで怖かった。


思われても仕方ないし。


「はあ?英語だけどなに?」


英語?あたし・・・1番得意じゃん。
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