片思いの種
「やば!先生?」


と思いもしたけど、今は職員会議。


生徒だ。


それにここは3階だから、1年生しかいないはず。


足音があたしに近づいてくる。


ゆっくり、後ろを見た。


・・・・・・・フッ・・・・・・・・・・・・・・・・・


すれ違った。


後姿を見る。


1年生の靴を履いていた。


背が高い。


あたしは一瞬、なにかに引き寄せられた。


・・・・・・・・タッタッタッタ・・・・・・・・・


次第に早歩きになる。


前にいる人を追いかけるように走った。


名前・・・・名前・・・・


全く知らない人なのに、


気になってしまう。


なに?この気持ち・・・




追いついた。


でも、緊張して名札が見れなかった。


あたしはガッカリして、教室に入った。


「葵。HR終わったんだけど。」


あたしが遅くて、HRをすませちゃったらしい。


「あ!ごめんね。」


軽く謝った。


そんなことより、気になるのは、あの人。


「ねえ、凜。1年生で、かなり背高くて、髪短い人知らない?」


前の席の凜は、情報網だ。


「ん?この学年で1番背が高いのは、中松海翔って人。」


中松・・・?あ!あのトップ1の人だ。


でも、あの人は細かった。


「その人ごついじゃん。細すぎるくらいだった。」


海翔って人じゃない。


「え!?中松海翔は細いよ!!?」


「うそ!!!???」


なんとなく、海翔って人な気がした。


ピンときた。


「坊主?」


「うん!」


「ああ。じゃあ、中松海翔で間違いないね。」


あれが・・・・中松海翔?


イメージ真逆。


でも、


「もっと知りたい」って思った。


もうこの頃すでに、


心に種が埋められていたから。





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