片思いの種
不思議な気持ち
あれから、妙に海翔という人が気になるようになった。


違うクラスで1日に3度くらい遠くから見かけるだけ。


でも、なんか海翔をみてると不思議な気持ちになった。


「葵葵!あの人海翔だったしょ?」


自信満々に凜が聞いてきた。


「うん。名札見た。中松って書いてた。」


「やっぱあ!あたし天才!」


凜が舞い上がる。


実はあの後友達と一緒に名札を見に行って、


確信を得た。


「ねえねえ、ぶっちゃけ!葵って海翔が好き?」


・・・話したコトもないのに好きなわけない。


答えは決まっているのに、


悩んでしまった。


なんで「スキじゃない」っていいにくいんだろう。


このときは、分からなかった。


「ねえ凜!そんなことよりー」


迷ったあたしは、話をそらした。


自分がわからなくなる。










話したコトもない人を、


好きになるってコトあるのだろうか。










水のみ場で手を洗っていた。


「葵!!」


紗樹にばったり会って、


抱き合って、


キャッキャキャッキャと騒いだ。


「葵葵ー!今日ね、好きな人と目が合ったの!」


「え?すごおい!」


「ドキドキしちゃった。もう!きゅんきゅん!」


恋する紗樹を見て、


「可愛いなあ」って思っていた。


こんな風にはしゃぎたい。


どんなに小さいコトでも喜べる恋がしたい。


そんな気持ちが強くなる。





「あ。」





あたしの目線の先には、


中松海翔。


友達と楽しそうに笑って、歩いている。


大きくて、目立つ。


・・・・・・・・・・・ドキッ・・・・・・・・


海翔をみて、ドキッとした。


こんな自分にビックリする。


なに?


この不思議な気持ち・・・・・。


自分の気持ちが見つからなかった。






< 4 / 31 >

この作品をシェア

pagetop