[短編]「I can't」
「……っ」


どんどん増す痛み。


人だかりをかき分け、やっと横断歩道のそばに出た。


通行人が注目するそこには、
ひとりの人が倒れていた。


それは…――






「僕…?」






道路に自分が倒れているのが見えた。


近くには、ぶつかったであろう車が止まっている。


「なんで…僕が…」


しかし、その光景はなぜかモヤがかかったようにぼやけていた。


彰人の頭痛は最高潮で、いまにも倒れてしまいそうだった。


フッと意識を失いかけた彰人だったが、


頭の中である声が聞こえた。

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