[短編]「I can't」
“彰人!!”


その瞬間、
彰人は気づいた。



「違う!!これは記憶だ。忘れていた僕の記憶」


パッと目を開けると、視界は晴れていた。


モヤなんてどこにもない。


そして、道路に倒れているのは…




「樹音!!」




彰人は傘を放り投げて、樹音を抱きしめた。



「樹音!!…樹音!!」



意識のない樹音を抱きしめて、名前を呼び続けた。


彰人の涙が、樹音の頬を濡らす。


樹音を失いたくない。


まだ、ちゃんと気持ちを伝えていないのに!!

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