[短編]「I can't」
‐I can't‐
――樹音が眠る病室。
連絡を受けて駆けつけた樹音の両親と彰人。
樹音の母親は、涙を流している。
“頭を強く打ちつけた為、意識が戻らないかもしれません”
医師の言葉が頭から離れない。
樹音の頭に巻かれた白い包帯が痛々しい。
こんなことって、あるだろうか。
やっと記憶を取り戻した彰人と、意識が戻らないかもしれない樹音。
神は二人に罰を与えたのか…
それとも、試練なのか…
それから樹音は3日間、眠り続けた。