罰ゲーム
『遠藤先輩…、自分がモテるってこと自覚してます?』
「えー?」
彼は視線を画面に向けたまま、いかにも人の話を聞いてないような返事をした。
『だからぁ、遠藤先輩はモテるんですって。自覚してるんですか?』
「んー。まぁ」
『まっ!じゃあそんな学年の王子がこーんなゲームオタクだなんて知ったらみんなびっくりしますねぇ』
モテるくせに、彼女とか作らないんだよなぁ…。
それっぽい噂とかも聞いたことないし。
そもそも女の子に興味あるのかすら疑問だ。
「ゲームオタクじゃねぇよ。人よりちょっとゲームが好きなだけ」
『それをオタクって言うんですーっ』
遠藤先輩からして見れば私なんて、新作のゲームなんかと比べたらこれっぽっちも興味のない存在なんだろうな。
「んなこと言うならお前は教室戻れよ。なんでいつもここ来るんだよ」
『それは…、も、もともとは私が先にこの場所見つけた場所ですしっ!!』
そう。
この誰にも見つからない秘密の階段は、私が本を読むために通ってた場所だった。
いつものようにここで本を読んでいた私を、同じように静かな場所を探していた先輩が見つけたのである。
まぁ、確かに先に見つけたのは私だが、毎日ここに通い続けているのはそれだけが理由じゃない。
遠藤先輩と2人きりで過ごせるから。
今はその理由のほうが大きい。
でもそんなこと、口がさけても言えない。