罰ゲーム

『遠藤先輩…、自分がモテるってこと自覚してます?』



「えー?」



彼は視線を画面に向けたまま、いかにも人の話を聞いてないような返事をした。



『だからぁ、遠藤先輩はモテるんですって。自覚してるんですか?』



「んー。まぁ」



『まっ!じゃあそんな学年の王子がこーんなゲームオタクだなんて知ったらみんなびっくりしますねぇ』



モテるくせに、彼女とか作らないんだよなぁ…。



それっぽい噂とかも聞いたことないし。



そもそも女の子に興味あるのかすら疑問だ。



「ゲームオタクじゃねぇよ。人よりちょっとゲームが好きなだけ」



『それをオタクって言うんですーっ』



遠藤先輩からして見れば私なんて、新作のゲームなんかと比べたらこれっぽっちも興味のない存在なんだろうな。



「んなこと言うならお前は教室戻れよ。なんでいつもここ来るんだよ」



『それは…、も、もともとは私が先にこの場所見つけた場所ですしっ!!』



そう。



この誰にも見つからない秘密の階段は、私が本を読むために通ってた場所だった。



いつものようにここで本を読んでいた私を、同じように静かな場所を探していた先輩が見つけたのである。



まぁ、確かに先に見つけたのは私だが、毎日ここに通い続けているのはそれだけが理由じゃない。



遠藤先輩と2人きりで過ごせるから。



今はその理由のほうが大きい。



でもそんなこと、口がさけても言えない。





< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop