俺の彼女はプリンセス!?
「ご苦労だったな、亀井」
職員室にいた担任に頼まれた物を渡すと、
あれ?遠藤は?とあの女子の名前を上げた。
「何か、用があるみたいで……」
「また亀井に頼んだのかアイツは。……ってお前も嫌なら断ってもいいんだぞ?」
担任の言葉に頭を掻きながら、はぁ…と愛想笑いする恭介。
その何だか頼りない姿に、
担任も深いため息をついている。
「そういえば、お母さんの具合はどうだ?」
「最近は良いみたいです。個室から大部屋に移ったみたいだし」
恭介の顔に自然と笑みが浮かぶ。
唯一の肉親である母親は体が病弱で、一年前から病院に入退院を繰り返していた。
離婚して女の手一つで育て上げた母親を、
恭介はとても尊敬しているのだ。
「じゃ、俺行きます」
椅子に座る担任に軽く頭を下げた恭介は、
そのまま職員室を後にする。
「また亀井、使われたんですか」
「もう少し自分の意見をはっきり言えたらねぇ……」
恭介の背を見ながら、
他の教師がボソリと呟いていた。