エースナンバー
「…そんなの」
「…え」
「そんなの仕方ないんじゃねぇの」
―――…!
俺の言葉に美空の表情が赤く変わる。
「だって…女相手に本気で投げたり…本気で打ったりできねーじゃん」
「……そんなこと…分かってるよ」
「……」
「でも…だからって何で諦めなくちゃいけないの?」
ミルクティーの瞳が揺れた。
「美空…?」
「私は…
甲子園に行きたい」
―――!
「何、言ってんの?」
唇が震えた…
何言ってんの…こいつ
「甲子園に行くためだったら…私は、何だってする」
「…美空」
「それからの非難や罵声なんて…耐えてみせる」
美空の瞳が、空を仰いだ。