エースナンバー
私が目を覚ましたのは
グラウンドではなく、球場の医務室だった。
真っ白な天井が見える…
「あれ…ここは?」
私は鈍痛のする頭を押さえて、上半身だけを起こした。
そこには人の姿はない。
試合は…どうなったんだろ…。
□
壁に手をあてながら、廊下を歩く。
話し声のようなものに足を止めた。
――…?
物音のする方を見ると、よく知ってる私のチームとさっきまで戦っていたチームが向き合うように睨みあっていた。
「これで勝ったなんて思うなよ!」
敵チームの一人が怒鳴るように叫んだ。
「なんだよ、何がいいたいんだよ!」
私のチームのキャプテンが対抗するように答える。
「だいたい卑怯だよ!
チームに女がいるなんて!」
――…!
「女がいて…本気で投げられるわけないじゃんか!」
「…っ」
「なんとか言えよ!卑怯者!」
相手チームはみんなそれぞれに険しい表情をしていた。
女って…私のこと?
寒気が体を襲った。
でも、本当に辛かったのは…それだけではなかった。