エースナンバー
チームをやめて気付いた…
私には何もない。
1日が野球によって始まり、野球によって終わる毎日だったから…
私にはもう…
何もないんだ。
そんな時だった…
疎遠状態だったおじいちゃんから手紙が届いたのは。
手紙には、学校の理事を務めることになったと書いてあった。
中、高のある系列の学校…
手が震えた…
おじいちゃんが理事の学校…
ここなら野球出来るかもしれないって…
男の子として…野球出来るかもしれないって…
――そう思った。
やがて私はおじいちゃんに頼んだ。
「野球がしたい」
そう言うと、おじいちゃんは顔を渋らせたけど、ようやく折れたように許してくれた。
私は男として学校に入り、もう一度…
男としてマウンドに立った。