エースナンバー
「今日でちょうど1ヶ月だもんなぁ…解禁じゃん?
気持ちはどーよ?」
上杉がニヤリと笑う…
「早くぶち込みたい。(ミットに)」
俺は平然と答えた。
しかし上杉の表情がさらにしかめる。
「お前…ちょっと怪しいぞ?その一言」
「…なにが?」
「顔がいいだけよかったなぁ…
顔までブサイクだと流石に引かれるもんな」
――…だから…何がだよ…
俺は眉間に皺を寄せて上杉を睨んだ。
「ま、いいや…
今日は練習着に着替えてグラウンド来いよ?
椎葉には俺からもう一度伝えとくからさ」
「了解…ボス」
「なぁーんか、バカにされてるみたいでムカつくぜ」
上杉は苦笑混じりに呟くと、俺にヒラヒラと手のひらを振って去って行った。
――これでやっと…
投げられる。
そう思うと拳に力が入る…。
まさかこんな風に球を投げることに飢えるなんて思ってなかった。
それは1ヶ月前に遡る…。