エースナンバー


俺が前にいた高校…T高校。


野球の名門だったそこは、あっけなく俺を追い出した。


忘れもしない…
あの夏の空に散る金属音。


  □


夏の高校野球
予選決勝戦…




9回裏まで、一度もかわることなく俺はマウンドに立っていた。



試合の途中で代えられる事は好きじゃなかった…。




ここは、俺のマウンドだ…



誰にも渡さない。

そんなキモチで背番号1を背負っていた。




4-3


2アウト3塁…


1点リードで迎えた9回裏…
あと1アウト。


これさえ押さえれば、試合終了。



押さえられると思った。


バッターは6番…
今までに大したヒットもない。



あと1球…
ちゃんと投げたら絶対に押さえられた。







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