戦国桜話
―葵side―
『小春ちゃーん!!』
シーン・・・・・・・・・
呼んでも呼んでも静かな森の中で私の声が響くだけ
小春ちゃんは・・・出て来ない・・・・・・
『次はあっちを探しましょうか』
八神くんは私に微笑みながら右側を指差した
その顔は・・・まるで“大丈夫ですよ”と言っているみたいに優しい・・・・・・
私は八神くんの優しい顔に堪らず目を背けた
『・・・葵様・・・・・・?』
八神くんが驚いたように、不思議そうに、私の名前を呼ぶ
・・・・・・胸が苦しい・・・・・・
・・・私は・・・何も出来なかった・・・・・・
小春ちゃんが連れ去られようとしてるのに・・・
小春ちゃんが助けを求めていたのに・・・
・・・何も・・・・・・ッ・・・・・・
私は下唇を噛み、溢れようとする涙を懸命に堪えた
泣いちゃダメだ・・・・・・
佐助にも・・・八神くんにも・・・胡蝶にも・・・たくさん心配かけたんだもん・・・
これ以上は・・・心配をかけちゃいけない・・・
『葵・・・』
佐助の声が頭上で聞こえた