戦国桜話


――――――――――☆


『・・・・・・と言う訳で、蜜華と私は・・・・・・・・・』


鶇夢は切なさそうに空を見上げた


多分、出そうになる涙を堪えるために空を見上げたんだろう・・・・・・


人前では泣かない・・・・・・


鶇夢はそういう奴だ


『・・・・・・鶇夢は自分の心にまだ雨が降っていると思いますか?』


木に寄り掛かって腕を組んだまま、八神が真っ直ぐに鶇夢を見つめる


いつにも無く、真剣な表情を見せる八神に鶇夢は八神を見たまま、何も発しない


沈黙が流れる俺達の間に木々のざわめきだけが聞こえてくる・・・・・・


『鶇夢・・・・・・もし、まだ雨が降っているんなら・・・現実から逃げないでください・・・』


『八神・・・・・・』


『前に進んだらいつか心が晴れる筈ですから』


柔らかく微笑んだ八神は鶇夢に近寄り、優しく抱き寄せた


いきなりの事に少し驚いた鶇夢だったが、嫌がり、離す気配はない・・・・・・


『・・・・・・っ・・・』


声を押し殺して泣く鶇夢を八神は瞳を閉じて抱きしめる


俺は寝ている胡蝶の隣に座りその光景をただ見つめた













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