戦国桜話
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『・・・・・・と言う訳で、蜜華と私は・・・・・・・・・』
鶇夢は切なさそうに空を見上げた
多分、出そうになる涙を堪えるために空を見上げたんだろう・・・・・・
人前では泣かない・・・・・・
鶇夢はそういう奴だ
『・・・・・・鶇夢は自分の心にまだ雨が降っていると思いますか?』
木に寄り掛かって腕を組んだまま、八神が真っ直ぐに鶇夢を見つめる
いつにも無く、真剣な表情を見せる八神に鶇夢は八神を見たまま、何も発しない
沈黙が流れる俺達の間に木々のざわめきだけが聞こえてくる・・・・・・
『鶇夢・・・・・・もし、まだ雨が降っているんなら・・・現実から逃げないでください・・・』
『八神・・・・・・』
『前に進んだらいつか心が晴れる筈ですから』
柔らかく微笑んだ八神は鶇夢に近寄り、優しく抱き寄せた
いきなりの事に少し驚いた鶇夢だったが、嫌がり、離す気配はない・・・・・・
『・・・・・・っ・・・』
声を押し殺して泣く鶇夢を八神は瞳を閉じて抱きしめる
俺は寝ている胡蝶の隣に座りその光景をただ見つめた