戦国桜話




空気が悪い・・・・・・


湿っていてかび臭いし、横を見ればムカデやら蛾[が]やら・・・


隠れるならもっと良いところにしろよな・・・






『蜜華・・・遅かったね』






突然聞こえた声に、あたいは肩をピクッと軽く震わせて足を止める


2m程前には高さ、幅・・・共に3mぐらいの岩に腰掛ける“雅”が妖しく微笑みながらこちらを見ている


気付かぬ間に近くまで来ていたらしい・・・・・・





『・・・・・・葵と会ったんだ?』


『・・・・・・・・・。』


『葵の臭いがするからね・・・分かるよ』





何も言わないあたいに雅はそう言って口の口角を上げる


相変わらず・・・気色悪い笑みを浮かべる奴だ・・・・・・


あたいは雅から視線を外し、髪をくしゃっと握った


『蜜華・・・会うのはいいけど・・・あまり余計な事は言わないでね?』


『わかってる・・・』










『葵は・・・僕らの計画の鍵を握る大切な子なんだから・・・』










そう言って取り出した“それ”を雅は優しい微笑みで軽く握る













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