戦国桜話


雅の言葉を聞いて佐助が怪訝そうな顔をすれば、それを見て雅はクスッと声を漏らし、次の瞬間にはふわりと身を浮かせて再びピピの所へと戻っていった





『葵・・・』





雅に上から名前を呼ばれ、ピクッと肩を震わせてからゆっくりと見上げた


上から見下ろしている雅は、とても真剣な顔をしていて私は何も言えなくなってしまう・・・


『僕達の望みを叶えるには・・・葵・・・君が必要なんだ』


『てめぇ・・・何が言いたい?』


相変わらず雅を鋭く睨みつける佐助・・・・・・


雅はそんな佐助をみて見下した様に妖しくフッと笑った


『僕は・・・葵を手に入れる・・・・・・そして葵も・・・僕を選ぶ』


『何を言って・・・!』


『じゃあ・・・僕達はそろそろ失礼するよ。“またね”佐助・・・葵・・・』


さっきの真剣な顔は何処へやら・・・


佐助の言葉を最後まで聞かず、人懐っこいニコッとした笑顔を見せながら羽ばたくピピの上でこちらに向かって手を振る雅・・・


何故か“またね”の部分を雅は強調して言い放った・・・・・・


また会う事が・・・分かっているの・・・?


それに私が雅を選ぶってどういう事・・・?


心が疑問に包まれてボーッと空を見上げれば、雅は優しい瞳で私を見つめる・・・


『葵・・・君の運命は・・・僕と共にあるんだ・・・・・・必ず迎えに来る』


『させねぇよ』





グイッ!





『へ・・・?』


思いっきり腕を引っ張られ、視界が急に暗くなる


な、何がどうなったの!?










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