戦国桜話
私は妖怪の方を向いた
妖怪の胸の辺りに出ている“顔”・・・・・・・・・
小春ちゃん・・・・・・本当に妖怪になっちゃってるんだ・・・・・・
分かっていた事だけど・・・いざとなって見たら・・・すごく・・・苦しい・・・
『お願・・・い、小春・・・を殺、して・・・』
力果てた様にぐったりと妖怪の胸の辺りから顔を見せる小春ちゃんの声は震えていた
『な、何言ってんの?小春ちゃん・・・・・・そんなの出来る訳無いじゃん・・・』
私は首を振りながら後ずさる・・・
顔が引き攣って貼付けたような笑顔しか出来なくなっていた・・・
『お姉、ちゃん・・・お願っい・・・・・・』
『やだよ・・・何で・・・?小春ちゃん・・・夢を叶えるんじゃなかったの・・・?死んだら・・・叶えられないんだよ?』
涙が溢れ出る
『小春は・・・もう妖怪なの・・・・・・』
『違っ・・・!』
『夢・・・叶えたかった・・・小春だって生きたいよ?・・・でも・・・今、ここでお姉ちゃんが小春を殺してくれなきゃ・・・村が危ないのも分かってるの・・・』
小春ちゃんは静かに涙を流し、意志の強い瞳で私を見つめた
『私は・・・村を守りたい・・・私が育った大好きな村を・・・・・・壊したくない!!』