戦国桜話
『葵ちゃん・・・小春ちゃんの事は・・・気にしたらだめだよ?』
『そうですよ、あれは・・・仕方なかったんです』
『分かってるよ』
鶇夢さんと八神さんはの言葉に私は軽く微笑みながら答えた
それと同時に腕を組みながら桜の木に寄り掛かっていた佐助の眉間のシワが深くなった様な気がした
“笑えてない”
佐助には・・・やっぱり分かってしまっただろうか?
あんな事があったのに・・・笑える訳がない
今も・・・小春ちゃんの笑顔が頭から離れない
初めて私の目の前で人が死んだ・・・・・・
塗り替える事の出来ない事実・・・・・・
どうしようもなかったとはいえ・・・やっぱり未練は残る・・・・・・
私は出そうになる涙を堪え、柔らかく微笑んだ
『じゃあ・・・行くね』
『あの・・・葵様!』
穴を潜ろうとする私を後ろから八神さんが呼び止めた
私はゆっくり振り向く
『また・・・来ますよね?』
八神さんの言葉にみんなが一斉に私に視線を向けるが私は何も答えることが出来ない・・・・・・
来たくないと言ったら嘘になる・・・
またみんなに会いたい
だけど・・・・・・
昨日の様な事がまたあるのならば・・・・・・
巻き込まれたくない
来るのが・・・怖い
私は結局答える事が出来ず、別れを告げて平成へと帰る為に穴を潜った
佐助は何も言わなかった
それが・・・少し寂しく感じた