戦国桜話
おじいちゃんはそっと1枚の写真を突き出す
そこには祠らしき物が地震の影響でボロボロに崩壊している姿があった
祠の残骸の中に朱色の水晶玉の様な物・・・
その玉は無惨にも真っ二つに割れていた
多分この玉に力を込めて鏡道を封印したんだろう・・・
その玉が地震の影響で割れ、鏡道が復活した・・・
鏡道が復活したという事は・・・・・・
妖怪が昔のように再び現代に現れるかもしれない
私は自然と写真を持つ右手に力を入れた
お母さんが命を懸けて封印した鏡道・・・早く・・・封印しなきゃ・・・!
『おじいちゃん・・・私・・・』
『葵・・・お願いだ・・・もう戦国には行くな』
『え・・・?な、何で!?』
『・・・葵には平和に過ごしてほしい・・・それが葵の両親の願いであって私の願いだ』
おじいちゃんの言葉に何も言えなくなってしまう・・・・・・
分かってる・・・
お母さんの力を持ってしても命を犠牲にしなければ封印出来なかった・・・
という事は・・・力の無い私にはあの鏡道をどうする事も出来ない・・・
封印しようとすれば私も命を落とすかもしれないし・・・
私は俯いたまま拳を握りしめた
自分はなんて無力なんだろう・・・
『分かったらもう行くな』
『う、うん・・・』
私は素直に頷いた
夕方のオレンジ色の光が居間を照らす・・・
外では紋白蝶が優雅に羽ばたいていた