空想リフレクション
美術の時間は教室を移動する。

そこでもやっぱりユキノは窓の外をぼんやりと眺める。


果物やら野菜やらをモチーフにそこからのイメージを絵に描くらしい。

あたかも自由に。

まるで世界を拡げるといわんばかりに。

輪切りにしたレモン。

鉛筆で下書きしている途中。



どうやって描こう。

どうして描くんだろう。



ユキノは窓の外を眺めながら、絵の具と筆を取り出して、水色とピンクと白と黄緑と、画用紙に乱雑に塗りたくった。

考えるのがいやになった。

抗うように乱雑に。

思考が水になって流れる。

適当に。

汚れていく画用紙。

それは乱雑であって、テキトーであって、適当だった。

画用紙が汚れていく。

汚していく。


まとまりかけた色が、ユキノが感じるまでも気付かないくらい、少しずつたまりはじめる。

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