空想リフレクション
美術の時間。

新しく課題の絵を描き直さなくちゃ。

何を描こう。

ぼんやりと窓の外を眺める。



いつもと違う景色。

見えない風が踊るだけのはずの校庭で、誰かがサッカーボールを蹴っている。

誰だかよくわからない。

制服を着ている。

授業中のはずなのに。

サボりだ。

先生に注意されないのか。

おもしろいひと。



ユキノはその風景を眺めながらスケッチを始めた。

課題なんかどうでもいい。適当に。いつのまにか夢中になって。適当に。


結局、彼はその時間、およそ45分間ずっと校庭でボールを蹴りながら走り回っていた。

ユキノもずっとその様子を眺めてた。

描いていた。

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