アキちゃんと雪だるまくんのお話
ところが

飛び込んだ雪の中に埋もれていた尖った石にアキちゃんは気付きませんでした。

「いたいっ」

その痛みを感じたときにはもう遅く、
アキちゃんの左足の下の雪に赤い斑点がポツポツとできていました。

家に帰らなくちゃ
お医者さんに診てもらわなくちゃ
いたいよ、歩けない、血がでちゃってる、どうしよう
こんなところきっと誰もこないし
お父さん、お母さん、いたいよ。

どうしようもない気持ちと一緒にアキちゃんの目から涙が溢れてきました。
さっきまでの楽しさや嬉しさが涙と一緒に流れていきます。
さっきまでの澄みきった情景が一転して、
まるでなにもないようなひとりを感じさせているようで、
アキちゃんはとても悲しくなってしまいました。
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