ようこそ! 魔破街へ
「じゃあムメイさんの部屋に移動しますか。もう少しお話したいですし」

「そうだな。そうしてくれるとありがたい」

ムメイはほっとしたように、立ち上がった。

暗闇に包まれた学校は、不気味な雰囲気がある。

けれどムメイは慣れているのか、とっとと中に入ってしまう。

宿直室は相変わらずタバコの匂いに満ちていた。

ムメイは窓を少し開けると、早速吸い出した。

「んで? 今度は何が聞きたい?」

「親父のことです」

「ぶほっ!」

驚いたムメイは、大量のタバコの煙を吐き出す。

オレは咄嗟に身を引き、煙から逃れた。

「寮ではしづらい話だったので、ここに移動してきたんです。…ムメイさん、親父とは結構長い付き合いですよね?」

「なっ何でそう思う?」

煙に咳き込みながら、それでもムメイの眼は真っ直ぐにオレを見ている。

「オレに対して、入れ込みが激し過ぎます。親父とは事務的な関係だけではないんでしょう? …もしかしなくても親父はここの出身で、ごくまれな例で街を出て行った者なんじゃないんですか?」
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