ようこそ! 魔破街へ
それは考えもしなかった。

あの純粋な、いつまでも少女のような母も、犯罪遺伝子の持ち主だったのか?

「フォローするつもりはないが、お前の母親はずっと昔にこの街に出ることを許可された血族なんだ。覚醒率が下がり、生き方も安全だと認識されたから、許された」

そして一般人として生きていたが、父と知り合ってしまった。

「じゃあ両親の出会いは何だったんです? オレという存在は、どんな理由でできたんですか」

「カルマ…」

困惑した視線を向けてきても、オレは正面から受け止めるだけ。

自分のことを知らないなんて、気持ち悪いだけだ。

特に今は特殊な環境に置かれている。

その理由を知らないままだなんて、ガマンができない。

「何も親父と話をさせてくれとは言いません。ムメイさん、あなたの知っている限りで良いですから、オレに話してもらえませんか?」

「だがな」

「親父からは別に口止めもされていないんでしょう? 話しても大丈夫ですよ」
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