ようこそ! 魔破街へ
「どうして母は魔破街のことを知らずに生きていたんですか? 自分の先祖が作ったものなのに…」

「そこは複雑な事情があってな。出て行ったお前の母方の血筋の者は、この街を嫌悪していた。つまり嫌気が差して、出て行ったワケだ」

なるほど。ムメイの言わんとしていることが、理解できた。

嫌でここを出て行ったのならば、外に出た後、わざわざ自分の子供達に説明するワケがないか。

そうして温室育ちの母と、魔破街の研究者である父は結婚した。

しかし父方の血筋には、契約が存在していた。

それは外へ出た後、子を成したのならば、その子供は必ず魔破街へ連れて行くこと。

そして街の住人にさせることが条件となり、親は外での生活を許される。

「…では父の祖父達もそうやって、親父をこの街へ連れて来たんですか?」

「ああ。だから魔破学院には寮がある」

ああ、それは凄く納得ができる。

普通の人間と結婚した後、この街へ行かせるのに寮という存在があれば、普通の人間ならば安心するだろう。
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