ようこそ! 魔破街へ
慌ただしい生活だな~とは思っていたが、まさか追っ手がいたとは思わなかった。

「今回の引っ越しだって、魔破街の管理者達があんまりにせっつくから、渋々だったんだぞ」

「へぇ…。そうなんですか」

思いっきり遠い眼で、返事した。

するとムメイも眼を細める。

「…お前、どんだけ父親に愛されて、大切にされているか、自覚していないのか?」

「母が死んでからというもの、父はあんまりオレと接してこなかったので。会話だって1分も続いたら、良い方だったんですよ」

「アイツは愛情表現をよく知らずに育ったからな」

そう言えば、小学生の頃からここにいると聞いたな。

…父方の祖父は、あまり子供に愛情をかけない人だったんだろうか?

「そう言えばオレ、親戚に一切会ったことないんですよね。ムメイさん、オレの親戚のことは知っていますか?」

「それも教えてもらっていないのか?」

「はい、全然」

オレは笑顔で肯定した。
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