ようこそ! 魔破街へ
ましてや怒りや憎しみもわき起こらないから不思議だ。

それはこの街が特殊なせいか―。

…まあ特殊と言っても、中々良い所ではあると思う。

みんな、新人のオレに優しい。

確かに危険はある人達かもしれないけれど、ちゃんと語り合えば、分かり合える。

…きっと親父とオレも、必要だったんだろうな。

お互い、歩み寄ること。

いくら信頼関係があったとは言え、やっぱり語り合うべきことは多かったはずだ。

「親父と連絡、取れないかな…」

外部との連絡手段は無い。

けれど父はこの街の関係者だ。

そこを利用すれば、手紙でも電話でも何とかなるかもしれない。

明日、改めてムメイやイザヨイ、シュリにでも相談してみるか。

まずはオレが動かなければダメだ。

もう流されるままでは、いけない。

「自分のことは、それこそ自分で決めなきゃな」

この街に残ることや、父と外の生活に戻ることも―。

やるべきことや考えることは、たくさんある。
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