ようこそ! 魔破街へ
ひくっとムメイの顔が引きつった。

「…オレ、確かに父に言われてここに来ました。けれどそれが売られたことになるって、どういう意味なんですか?」

「そっそれはだな! ホラ、サラっておかしなヤツだろ? だから言うことも…」

「それは違う」

オレはハッキリと断言した。

「おかしいのは…この街の存在そのものだ。警察がいない、人を殺しても裁かれない―。あまりにオレが知っている常識からは、外れ過ぎています」

「ううっ…」

「それに…オレはここに来るまで、街の様子を見て来たんですよ? …オレの知っている店なんて、ほとんど無かった。どこか特殊で、どこか変わっている」

街の様子を思い出し、思わず顔が歪む。

< 20 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop