ようこそ! 魔破街へ
「サマナ?」

「あっ、はい。何でしょう?」

寮の玄関を通り、ロビーに到着したところで、ムメイが振り返った。

「どうした? ぼ~っとして。疲れたか?」

「ええ、少し。移動に時間がかかりましたからね」

オレは苦笑し、肩を竦めた。

もちろん、ウソだ。

でもここで本音を明かしたところで、どうなることでもない。

ここまで来て、ジタバタ足掻くのもみっとも無いと言うものだ。

「管理人と寮長だ」

ムメイが顎で示した所には、二人の男性がいた。

一人は大人しそうな二十代後半ぐらいの男性。

もう一人は魔破学院の制服を着た青年だった。

二人はこちらに気付くと、笑顔でやって来た。

「サマナくんだね? はじめまして。ここの管理人を任せられているイザヨイと言います」

「はじめまして。お世話になります」

メガネをかけ、一見は文学青年っぽいけど…何か笑顔が寒く見えるのはオレだけ?

けれどお世話になるので、頭を下げる。

「―うん、良いね。外部の人は礼儀正しくて」
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