ようこそ! 魔破街へ
「は?」

お辞儀は普通の礼儀なのでは?

頭にはてなマークが浮かぶも、イザヨイは一人で感心して頷いている。

「ここのコ達は我が身第一主義が多いからね。つまりワガママで自分勝手なのが多い。キミみたいな素直な反応は、新鮮で実に良い」

実感しながら言われても…引くだけだ。

「アハハ、イザヨイひどいなぁ。ボクらだって、挨拶ぐらいはできますよ?」

「キミ達は形ばかりで心がこもっていない。世話をしてても、楽しくないんだよねぇ」

制服を着た青年はにこやかに笑った後、オレの方を向いた。

「はじめまして、サマナ。ボクはタカオミ。よろしくね?」

「あっ、はい。よろしくお願いします」

同級生か分からなかったので、とりあえず頭を下げる。

するとタカオミは顎に手を当て、しばし考える。

「…うん、確かに新鮮で良いな」

…この街にはどれだけ常識が通用しないのだろう?

オレは二人の態度を見て、遠い眼をした。

「あっ、敬語は良いよ。同級生だし」

「うん、分かった」
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