ようこそ! 魔破街へ
それが一番の心配で不安だった。

ムメイに見せられた書類が、全ての真実とは限らない。

隠されたり、誤魔化されたりされている部分はあるだろう。

しかし自分自身で、それを探る術はない。

「…いや。今のところは、か?」

この街には犯罪者としての優秀者がいくらでもいる。

彼等と親しくなれば、もしかしたら分かるかもしれないけれど…。

「分かったところで、どーにもなるもんでもないかも」

知ったところで、ここから出られるワケがない。

それに将来のことにも不安がある。

ここで学校を卒業するまでは良いだろう。

しかしその後、就職とかはどうなる?

今まで普通の人間として生き、特に秀でたところのないオレが、この街で働く所なんてあるんだろうか?

「…せめて何か特技を持っていればなぁ」

ムメイに見せられた書類には、先祖が鍛冶師だったり医者だったりと、専門職だったことが書かれていた。

…だからと言って、今のオレには何にも関係ないところが悲しいと言うか、嬉しいと言うか。

非常に微妙な気持ちになる。
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