ようこそ! 魔破街へ

男子寮

結構時間が経っていたので、サラとはロビーで別れた。

シュリが代わりに付いてきてくれたので、オレは質問してみた。

「…シュリ、ちょっと気になっていることがあるんですけど」

「何だ?」

「ここは犯罪遺伝子を持つ者が集められた街というのは説明されました。けれど…本当は『犯罪遺伝子の覚醒率が高い者が集められた街』…なんですよね?」

学院の前で、オレ達は足を止めた。

少し前を歩いていたシュリはため息をつき、肩を竦めた。

「…サマナ、お前は本当に勘が鋭いな」

「いいえ。…きっと親父が室長なんてやっていなければ、気付きもしなかったでしょう」

犯罪遺伝子を研究する仕事ならば、覚醒遺伝子のことも研究していただろう。

そして…自分の息子がその基準値の上を行っていたのならば、研究対象としてこの歳まで手元に置いていた意味が分かる。

…そう。母が死んでから、父にとってオレは息子ではなく、研究材料の一つだったんだろうな。
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