ようこそ! 魔破街へ
「そうですね。そうならないように、気を付けたいと思います」

「ああ、サマナなら大丈夫だろう」

シュリは力強く頷いてくれた。

男子寮のロビーまで送ってもらい、オレは自分の部屋に戻った。

「この街の真の意味、か…」

呟いた後、頭を振った。

考えるのを止めたくて、風呂に入る。

大浴場に行く気にはなれなかったので、部屋の風呂を使った。

体がサッパリしたせいか、頭が先程よりもよく回ってしまう。

魔破街の真の意味―それは共食い、だ。

犯罪者同士が集まり、お互いに欲を満たす為に暴走する。

そして共食いを始めれば、外部の人間が何かしなくても勝手に自滅してくれる。

暴走は処理班が止めると言っていたが、果たしてどのぐらいの暴走で止められるんだか。

…少なくとも殺人では動かないだろう。

サラが良い例だ。

ならばこの街を作った者は、そうやって共食いさせ、世界の安定を図っているのではないかと思った。
< 69 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop